みんなの体バランス

体の痛みや悩み、バランスで解決してみました。

パーキンソン病による左腕の震えと強い肩凝りに悩む女性に施術しました

パーキンソン病のため、左腕の震え、強い肩凝り、腕から小指にかけての痺れ、腕全体に生じるだるさに悩まされている大阪市在住の60歳代女性。

継続した施術を行った結果、肩凝り等の症状が解消されました。

加えて、大きな変化はないと思っていた腕の震えは、施術途中では完全に止まったり、終日震える程度が小さくなるなど、予想以上の改善が見られました。

私自身貴重な経験であり、パーキンソン病でお困りの方に対しても、バランス療法が症状の改善のためのツールになるのではないかと思い、この症例を投稿しました。

左腕の震えがひどく料理をするのが怖い

主訴は強い肩凝りと、左腕のだるさ、加えて、左小指にかけて痺れがあるとのことで、お越しになりました。

ご飯仕度をする時が生活の中で最も困難だそうです。手の震えのため、食材を押さえつけられず切りにくい。フライパンなどの鍋も動かすのが怖い。とのこと。

既往として、平成28年1月にパーキンソン病と診断を受けられたそうです。

肩の凝り感もひどいとのことですが、日頃、左腕の震えが酷く、薬が切れると震えのために目が覚めるとのこと。

薬は処方されたものを、朝、夕半錠ずつ服用されているそうです。

薬が効いているときは、症状は緩解するものの、効果が切れると震えはひどくなり、加えて、世間からの目も大変気になると訴えられておりました。

パーキンソンの分類では、初期症状とされる片側だけの震えです。

パーキンソン病と症状の分類

パーキンソン病は進行性の病気です。

体を動かすときには、脳から全身の筋肉に指令がいきますが、その際、運動の調節機能としてドーパミンというものが必要になります。このドーパミンは脳の中で作られます。

パーキンソン病は、脳内のドーパミンを産生する機能が低下してしまうため、運動の調節する機能が低下し、筋肉のこわばり、手足の震えなど、運動の障害を引き起こします。

ちなみに、パーキンソン病を症状で分類すると以下のようになります。 (ヤールの分類) 

  • 1度ー片側のみの手、足、もしくは両方の震え。
  • 2度ー両側の手、足、もしくは両方の震え。
  • 3度ー姿勢や歩行に障害が現れる。(小刻み歩行や、すくみ足)
  • 4度ーかろうじて自力で歩行できるが、部分的に介助が必要。
  • 5度ー車イスや寝たきりにより介助が必要

今回のケースでは、片側のみの震えがあったため、1度のパーキンソン病ということになります。

頚・肩部のバランスをチェックする

バランス療法は、他動運動の検査をもとに、体を正しい位置関係(左右差の無いからだ)になるよう治療を進めます。

筋肉の働きに左右差があると、背骨や骨盤は左右からの安定が得られず、肩甲骨の高さも左右で異なってきます。

骨格の位置が左右で異なれば、関節運動にも、当然左右差が生まれます。

片側の肩は挙げやすいが、反対側は挙げにくい、膝においても、曲がりやすい方、そうでない方、といったようにです。

これが体の歪みであり、姿勢保持や関節運動において必要以上の筋活動、関節への負担が起こり、肩凝りや、腰痛など、種々の症状が産み出されます。

この方には、特に上半身の動きを評価し、施術しました。

左の背中が盛り上がっている

うつ伏せの姿勢で体を見てみると、左の背中、特に肩甲骨の内側の筋肉に強い張りがありました。

立位では、右肩に比べて左肩が高くなっています。

首の動きでは、右には振り向きやすく、左には痛みはないものの振り向きづらさが感じられるとのことでした。

肩の動きが左右で違う

仰向けの姿勢により、腕が上がるかを評価します。

このとき、両側の腕を同時に動かし、左右差がないかを比較します。

このとき重要なのが、人に動かされたときに、腕が左右ともに最後まで上がりきるかどうか評価します。

自身で両腕を上げたとき、確かにしっかり上がります。

しかし、人に上げられたとき、左腕は肘もしっかり伸び、耳にまでしっかりと上がりましたが、右腕は、肘は伸びきらず、耳に付くことはできません。手を離すと腕は肩の外に逃げていきます。

左手首は耳の直上、右手首は肩関節の直上といった位置です。

自動運動では問題無いようでも、他動運動では左右の違いがはっきり見えます。

施術で左右のバランスを整える

バランス療法では、当然パーキンソン病を治すことはできません。

しかし、この方は明らかに筋肉の働きに左右差があり、これを正すことで、肩凝り、痺れが改善するのではないかと期待し施術しました。

肩の調整で肩こりが軽減する

初回の施術(4月7日)により、症状は、かなり改善されました。

特に上半身に対して施術を行いました。

右の肩が上がりにくいため、右腕を後ろに引く働きのある筋肉群の緊張が強すぎるのではないかと考え、肩を大きく動かせて筋肉を調整する手法を主に使用して、施術してみました。

施術の合間で、手の震えが少し落ち着いてきたように思います。

他動にて、腕をあげさせてもらうと、やや揃うようになりました。

続けて、他方の肩、首周りなどにも施術しました。結果的に、他動運動において、両腕はしっかりと同じだけ伸びるようになりました。

肩凝り感は大分減り、小指にかけての痺れもわずかに感じる程度までになったということでした。

これで、初回の施術は終わりました。

震えが減って痺れがおさまる

初回に施術した次の日は、肩の凝り感は改善していたそうです。痺れ、だるさは、軽減はされましたが、まだ残っているとのことです。

2~5回目(4月10~18日)の施術により、だるさ、痺れは完全になくなり、夜は目が覚めることなく熟睡できるようになったとの報告を受けました。

昼夜ともに、左腕の震えは出ますが、それほど気になることは無くなってきたと、ご報告を受けました。

2日に一度ほどのペースで施術させていただきました。

施術回数を重ねるごとに、患者さんの話も交え、わかったことがありました。

左肩を耳に近づける筋肉の緊張が強くなるほどに、震えもひどくなるようです。これを踏まえて、左腕や首周りの施術を重点的に行うように心がけました。

この方は、何か作業をするとき、失敗しないようにと、腕の震えを制止しようとして力が入るため、腕のみならず、首、肩や背中にかけて異常な緊張が起こり、

震える→肩凝りが起こる→更に震える→更に肩凝りがひどくなる

といった、悪い循環に陥ってるような感じがしました。

震えが完全に止まることも

6回目以降(4月20日~)では、施術途中、震えが完全に止まるようになってきました。

更に嬉しいことに、「昨日一日、震えがあることを忘れていたわ。」と、言っていただきました。以前のような不安感は感じられなくなっていました。

現在10月でも、定期的に施術させてもらっています。

近頃では、薬は以前と同様に朝、夕薬を半錠ずつ服用されているとのこと。

まだ、左腕の震えは小さいながらも起きますが、良い調子は続き、薬が切れている時間であっても、あまり気にもならないということです。

夜はぐっすり眠ることができ、料理も不自由なく作ることができるということでした。

パーキンソン病の症状がなぜ改善したのか?

初期のパーキンソン病の患者様に対して、左右のバランスを揃えたことで、生活におけるパフォーマンスの向上、及び手の震えが軽減することがわかりました。

症状の改善が見られた経緯については、脳内のドーパミン量が増えたのかどうかは解りかねますが、継続した施術によって左右の筋肉の働きが整ったことにより、姿勢の保持能力が向上、加えて、脊椎や骨盤、肩甲骨等の位置が正しい位置に正されました。

よって、体のなかを通る運動神経等の負担が取り除かれ、神経の情報伝達が左右ともにスムーズに行えることになったため、動作が改善されたのではないかと思います。

ただし、パーキンソン病は進行性の病気であり、現在の医療ではまだ治すことのできない病気ですが、薬とともに身体のバランスの改善を継続して施すと、極めて進行を遅らせることができるのではないかと期待します。

この症例を投稿した人

杉田 浩一
Kouichi Sugita

杉田 浩一
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