みんなの体バランス

体の痛みや悩み、バランスで解決してみました。

過去に脳挫傷の既往歴、肩こりに悩む30代男性に施術しました。

2020.06.17 記

慢性的な肩こりでお悩みの男性に施術した症例です。

過去に脳挫傷の既往があり、肩こりのほかに、様々な症状が背景にありました。それらのほとんどが施術により改善いたしました。

脳の損傷による症状は、さほど改善しないであろうと考えていた私ですが、あっと驚かされるような変化に驚いた症例であります。

 


 

大阪市天王寺区 30代男性

主訴は右の激しい肩こりと、背中の中心がたまに痛くなることがあるとのこと。

マッサージ店に行っても楽になったと感じるのは、ほんの数十秒ほどで、長持ちしないとおっしゃっておりました。

マッサージ店に行く頻度は二週間に1,2回ほどのペースということでした。

 

とにかく右肩が痛くてつらい、頭も痛くなる

お仕事は車を運転することが多いそうで、常に右肩が重くてだるく、ひどいときには頭痛も生じるようです。

 

過去に、総合格闘技で脳挫傷。3度の頭の手術、そして、数か月の入院。

平成27年 総合格闘技の試合中に頭に強打を受けたことにより、脳挫傷に加えて急性硬膜下血腫を発症と診断。

頭の中の血を抜く手術、そして、左脳が中心を越え右側に寄ってしまったので元の位置に戻す手術。

そして術中、小さな血栓が生じてしまい、軽い脳梗塞を発症されました。

これらすべてを治すため、頭を計3回手術されております。そして数か月入院し、しばらくリハビリに通われていたそうです。

 

右手に痺れがあり、握力が低下していることが判明。

過去、脳の損傷を受けているため、そのほか症状が無いかお尋ねすると、

右の手のひらがピリピリと痺れ、力が入らないということでした。

 

握力計はないので、左右で握手をしていただき、確認しました。

左に比べて、右手ははるかに握れていないのがわかりました。ご本人は左利きということですが、それでいても右手の握る力はあまりにも弱々しいものでした。

リハビリにかかっているとき、握力は1ケタ台であったとおっしゃっていました。

なので、日常生活では右手を使うことはほとんどないそうです。コップなど持ってもよく落としてしまうそうです。

 

立っているときに体を捻ると、右の腰にハリがある

日常、肩や背中のほうにばかり気になっておられるようでしたが、立っている状態で体を左右に捻っていただくと、どっちに振り向いても右の腰に張り感とがあることがわかりました。

 

座っているときに右足のかかとを浮かせると、ガクガク振るえる

症状はまだありました。

イスに座り、右足のかかとを浮かせるとガクガク振るえるというのです。

意識しても止まることはなく、いつもイライラする。とおっしゃっていました。

左足は、同じ姿勢をしても、問題なく静止できていました。

(※この姿勢が保持できない。)

 

 

脳挫傷について

頭部を打撲したことにより、脳の一部の組織が損傷することを言います。脳内の出血やむくみのため、激しい頭痛や、嘔吐、意識障害などを起こすことがあります。加えて、左右どちらかの体の感覚障害、運動麻痺、けいれん発作などが現れることがあります。

 

急性硬膜下血腫について

ほとんどが頭部外傷によるもので、脳挫傷により出血を起こし、脳内に血液がたまってしまう状態です。

脳は外側から頭蓋骨、硬膜、クモ膜、軟膜という組織でおおわれています。

硬膜下血腫は、硬膜とクモ膜の間で血液が貯留した状態です。

症状としては、出血により脳が圧迫をうけ、意識障害を生じます。

 

バランスのチェック

バランス療法は、他動運動の検査をもとに、体を正しい位置関係(左右差の無いからだ)になるよう施術を行います。

筋肉の働きに左右差があると、背骨や骨盤は左右からの安定が得られず、肩甲骨の高さも左右で異なってきます。

骨格の位置が左右で異なれば、関節運動にも、当然左右差が生まれます。

このような、安定性に欠け、歪んだ状態で生活を続けることで、体に様々な負担をかけ、種々の症状を生み出していると考えています。

 

肩の動きが左右で違う(左肩が上がりにくい)

仰向けの姿勢にて、術者が両側の腕を同時に動かし、左右差がないかを比較します。

自身で両腕を上げたときは、さほど右と左で違いを感じないのですが、人に動かされたとき、腕が左右ともに最後まで上がりきるかどうかが重要なのです。

 

評価をさせていただくと、この方は、右肩はしっかり上がるのですが、左肩が上がりにくいということがわかりました。

自動運動では問題無いようでも、他動運動では左右の違いがはっきり見えます。

 

膝、股関節の動きが左右で違う

仰向けで、股関節の開きやすさ、うつ伏せで膝の曲がりやすさを左右で比較いたしました。

これらも、すべて術者が動かし比較します。患者さん本人が動いてはダメです。

結果的に、

股関節は左に比べて、右のほうが開きやすく、

膝関節は右に比べて、左の方が曲げやすいことがわかりました。

 

施術で左右のバランスを整える

この、「バランス療法」の優れている点は、

まったく痛みのない施術であること、そして正しく体が整えられているのかどうか評価ができる。というところです。

体が整ってくると、手足の可動域は左右ともに同じになります。

 

右手の握る力が強くなってきました。

施術の途中で体を評価し、左右差が減ってきたことが確認できましたので、途中経過として、右手の握る力を確認させていただきました。

すると、先ほどよりかは力が入りやすくなっていることが、患者さんと私、お互いが確認することができました。

そして、体を捻っていただき、腰のハリがどうなっているか確認したところ、ハリは消失しているとお答えいただきました。

確かに体を捻る動作にスムーズさが生まれ、可動域も広くなっているのが確認できました。

 

手足の可動性が良くなり、左右差が無くなりました。

施術を再開しました。

全身を調整するのですが、この方は特に腰回りの施術、右の股関節周りの施術が良く効くようでした。

手足の評価をすると、肩関節、膝関節、股関節ともに同じ量、抵抗感無しに稼働することが確認できました。

 

座っているときに右足のかかとを浮かせると、ガタガタ振るえていたのが、ピタッと止まりました。

歪みが大きく改善されたので、念のため足の症状を見ようと思いました。脳の損傷なので、そんなに改善はしていないかも。と思ってはいたのですが、握力が回復していたので、もしかしたらと思い患者さんに座っていただき確認していただきました。

すると、かかとを浮かせると保持できずガタガタ振るえていた足が、ピタッと止まっているのです。

 

頭の手術後、病院でリハビリに通い続け、ある程度回復したものの、当時の主治医からは、日常生活を送ることがリハビリだね。と言われたそうですが、今まで一度も足の振るえが止まることはなかったそうです。

 

施術後、イスに座ってお話をしているときに、患者さんが突然のカミングアウト。「目が見えるようになってます!。」

施術終了後、患者様のお体がどう歪んでいるのか、施術前後で撮影した姿勢写真を一緒にみてご説明させていただくなど、イスに座ってお話をしているときに、

患者さんから、

「今気づいたんですけど、目が見えるようになってます。」

とおっしゃるのです。視野が広くなって、物が明るく見えるようになったのかな。と、思ったのですが、

患者さんは、来院最初から、左視野の上部が黒く抜け落ちてて、エアコンがまったく目に入っていなかったそうです。

それが施術後見えるようになっているとのことでした。

 

いつからかお尋ねすると、やはり脳挫傷を起こしてからだそうです。

 

画像を添付します。

左側が施術前、右側が施術後に見えていた景色だそうです。

(ご本人確認済み)

 

説明もひと通り終わり、患者さんがお手洗を済ませた後、さらに一言。「鼻詰まりが無くなってます!」

患者さんのご説明を終えたところで、お手洗いに向かわれました。

そして、出てくるや否や、こうおっしゃいました。

「先生、もう一つ気づいたことがあるのですけど言っていいですか?、ずっと鼻が詰まっていたのが治ってます!」

鼻詰まりは、ここ最近のものでなく、しばらく前からずっとあったそうです。

前回から3週間ほど経過してから、再度来院いただきましたが経過順調でした。

前回終えてから、体の変化や日常生活、どのようなものであったか、お話しいただきました。

まず、必ず右か左か横になってでしか眠れなったのが、仰向きで眠れることができ、さらに睡眠が深くなったように感じたそうです。

夜、車を運転しているとき、以前に比べてはるかに車線(白線)が見やすくなった。そして視野は変わらず、前回と同様に良好。

自然と右手で作業することが、以前に比べて増えた。

ズボンをはくとき、右足の踏ん張りがあまり利かなかったのが、安定するようになってきた。

しかしながら、またかかとを浮かせると、ガクガク振るえが出るようになったようです。

 

だいたいの症状が落ち着いた状態が続いてて、ほっとしました。

 

再度、施術させていただくと、右足の振るえは消失いたしました。

繰り返し、繰り返しバランスの良い状態を提供させていただくことで、さらなる向上が見込まれるのではないかと期待します。

 

この患者様は、ある夢があります。

総合格闘技の選手復帰は無理かもしれないけど、トレーナーや、選手のお手伝いなど、何か格闘技の世界に携わることができたらいいな。とおっしゃておりました。

 

この夢をかなえられるよう、精一杯サポートさせていただこうと思います。

まとめ

おさらいすると、

この方は肩こり、背中の痛みのほかに、

・右手の握力低下

・右足の振るえ

・体をひねった時の腰の痛み

・視野欠損(左視野の上部が黒く塗りつぶされたように見える)

・慢性的な左鼻の詰まり

といった、多くの症状が隠れていました。

そして、それらのほとんどが一度の施術で改善されました、

 

正直、視野の欠損が改善されたり、鼻詰まりが改善されるシステムは、わかりません。

ですが、頭部にダメージを負ってから今まで、右手、右足に力が入らずコントロールできていなかったので、片側に依存し、体が歪んでいた状態が長く続いていたことは間違いありません。

これらの歪みが正されることにより、本来の動き、機能が取り戻せたのではないでしょうか。

私にとっても、貴重な経験をさせていただきました。

そして、どのようなケガ、症状があっても、もしかしたらバランスをよくすることで、現状よりか良い体になるのではないかと、期待を持てるようになりました。

 

 

この症例を投稿した人

あさひバランス治療院

大阪府大阪市都島区東野田町4丁目2−23バイエル都島304

杉田 浩一
Kouichi Sugita

杉田 浩一
投稿した症例 電話で相談